中小企業と内部監査
放送大学で「組織運営と内部監査」という科目の講義が始まっている。日本内部監査協会も番組の制作に協力しているようである。
私はテキストを買って読んでみたのだが、内部監査に関するテーマを広範にわかりやすく取り上げていると思う。
とりわけ、以前から関心のある「経営監査」あるいは「内部監査と経営診断の学際的(?)領域」について、中小企業における内部監査の役割に関する論考(講義)がヒントになりそうである。
テキストでは中小企業の特質として、ヒト・モノ・カネなどの経営資源に制約があること、経営者の個性が強いこと、創造性・機動性・技術力による潜在的市場創出能力が高いことなどを挙げている。
他方で、それらの裏返しとして、キャッシュフローの管理、本業への集中、適切な人材管理が中小企業の課題となると指摘している。
たとえば、内部監査が購買管理(仕入管理・生産管理・在庫管理)、債権管理、販売管理についてリスクを指摘し、改善を提言していくことによってキャッシュフローの効率性を高めていくことができるとしている。
そうした業務プロセスの内部監査がうまくいかない場合、経営者が適切な管理を欠くと従業員の不注意や怠慢を誘発し、品質問題など様々なリスクが顕在化して業績の悪化を招くことにもつながる。この意味で、内部監査は適切な人材管理を通じて、組織のリスクを低減し、業務プロセスの有効性と効率性を高めるものと言えるのかも知れない。
また、経営者の個性が強いことと、潜在的市場創出能力が高いことは、ともすると自社の強みと弱みを十分に踏まえずに、手を広げてしまう危険をはらんでいるといえよう。経営者が自分を律するのが困難であれば、日頃からそれをサポートする仕組みをつくっておく必要があり、それが経営者自身の内部監査であるという。(中小企業の場合は、会計参与などの社外ブレーンを活用することが考えられる。)
実際には、中小企業で適切な内部監査が実施されている例は希少であるという。しかしながら、中小企業経営者自らが意識を変えて、内部監査を組織のリスク・コントロール、ガバナンスを強化する投資と理解して導入することが望まれるとしている。
中小企業というと大企業の下請けというイメージもなくはないが、むしろ、このテキストがいうように潜在的な市場を創出するイノベーティブな役割を期待したいものである。そうした意味でベンチャーやアントレプレナーを支援する役割の一翼を内部監査が担いうるのであれば、内部監査の社会的な意義も更に深いものとなるのではないだろうか。
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